会社法監査Dictionary

会社法監査 Dictionary

※ご質問をクリックすると回答をご覧いただけます。

会社法監査とは?
株式会社は、計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければいけません(会社法第435条)。これらは、定時株主総会に提出され、株主の承認を得ることが求められます(会社法第438条)。ここで、計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表を言いますが、一定以上の規模の株式会社は、この計算書類と附属明細書につき、公認会計士又は監査法人の会計監査を受けなければいけません(会社法第436条)。これを一般に会社法監査といいます。
会計監査人とは?
会社法監査を行う公認会計士又は監査法人を会計監査人といいます。会計監査人は、株式会社の役員ではないのですが、株主総会の決議によって選任されます。任期は一年で、会計監査人を選任する場合、会計監査人設置会社である旨及び当該会計監査人の名称を登記する必要があります。
会社法監査を行わなければならない一定以上の規模の会社とは?
会社法上の大会社は会計監査人を置かなければならないものとされており、この大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上、又は負債総額が200億円以上である会社をいいます。
会社法監査を受けなかったら?
会社法上の大会社が会社法監査を受けなかった場合、百万円以下の過料が科せられます(会社法第976条)。罰則以前に会社法違反になってしまうということを重く受けとめていただきたいところです。
監査役との関係は?
監査役は取締役の職務の執行を監査します。
監査役設置会社においては、取締役が会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するにあたっては、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければなりません(会社法第343条)。
また、会計監査人の報酬を定めるにあたっては、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければなりません(会社法第399条)。
監査を行うにあたっては、監査役とコミュニケーションを行わなければならないとされています。少なくとも監査計画についての説明と、監査の結果についての説明が監査役に対してなされます。
会計監査人はどのような権限をもっている?
会計監査人は、いつでも、会計帳簿やこれに関する資料を閲覧したり、コピーをとったりすることができます。
また、会計監査人は、取締役や従業員に会計に関する報告を求めることができます。
会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、会計監査人設置会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができます。この場合、子会社は、正当な理由があるときは、報告又は調査を拒むことができます。
監査手続は具体的に何をする?
どのような監査手続を採用するかを選択する「リスク評価手続」と、それを適用して実際に監査証拠を入手する「リスク対応手続」があります。
リスク評価手続では、会社の事業内容や経営環境等を考慮してリスクを洗い出し、リスク対応手続では記録や文書の閲覧、実査、観察、質問、確認、再計算、再実施、分析的手続等といった手法が採られます。
実査とは、資産の現物を実際に確かめる監査手続です。現金、受取手形、有価証券、ゴルフ会員権などの現物を実際に確認します。
確認とは、紙媒体、電子媒体又はその他の媒体により、監査人が確認の相手先である第三者(確認回答者)から文書による回答を直接入手する監査手続をいいます。

また、「監査人は、職業的懐疑心を発揮して、識別した不正リスクに対応する監査手続を実施しなければならない。」とされており、「実施する監査手続の種類、実施の時期及び範囲の決定に当たって、企業が想定しない要素を監査計画に組み込まなければならない。」とされています。
会計監査人は誰でもなれる?
公認会計士又は監査法人でなければならないものとされています(会社法第337条)。監査法人でなくとも、公認会計士個人でもよいといえます。ただし、次に掲げる者は、会計監査人となることができません。

公認会計士法の規定により、(会社法)第435条第2項に規定する計算書類について監査をすることができない者は以下の通りです。

例)文言は省略しつつ記載していますので、必ず原文にあたってください。

【公認会計士】(公認会計士法第24条、公認会計士法施行令第7条)

(1) 公認会計士又はその配偶者が、役員、これに準ずるもの若しくは財務に関する事務の責任あ
る担当者であり、又は過去1年以内にこれらの者であった場合

(2) 公認会計士がその使用人であり、又は過去1年以内に使用人であった場合

(3) その他著しい利害関係を有する場合

(例)
・公認会計士の配偶者が公務員であり、又は公務員を退職したが、退職後2年を経過していない
場合で、この公務員と、被監査会社とが職務上密接な関係にある場合

・公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等の株主、出資者、債権者又は債務者である場合
(一定の場合は除く)

・公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等から無償又は通常の取引価格より低い対価による
事務所又は資金の提供その他の特別の経済上の利益の供与を受けている場合

・公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等から税理士業務その他、公認会計士法第2条第1
項又は第2項の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている場合

・公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等の役員等から前二項目にかかわる報酬を受けてい
る場合

・公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等の関係会社等の役員若しくはこれに準ずるもので
ある場合又は過去1年以内若しくは監査関係期間内にこれらの者であった場合

・公認会計士が被監査会社等の親会社等又は子会社等の使用人である場合

【監査法人】
 
監査法人についても制限がありますがここでは省略します。
会計監査人の交代の手続は?
会社法監査における監査人の交代 以下、公開会社ではなく、会社法監査のみを受ける必要のある会社様を前提に監査人を交代する場合の手続をまとめます。

Ⅰ.会社法の規定

(監査役又は監査役会)
会社法第344条 監査役設置会社においては、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容は、監査役が決定する。
2 監査役が2人以上ある場合における前項の規定の適用については、同項中「監査役が」とあるのは、「監査役の過半数をもって」とする。
3 監査役会設置会社における第1項の規定の適用については、同行中「監査役」とあるのは「監査役会」とする。

(監査等委員会)
会社法第399の2
第3項 監査等委員会は、次に掲げる職務を行う。
二 株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定

すなわち、現任会計監査人を再任しないこと、及び新会計監査人を選任する議案は監査役、監査役会、又は監査等委員会が決定します。

Ⅱ.監査役、監査役会又は監査等委員会の対応

1.現任会計監査人の不再任の理由を十分に吟味する(以下、日本監査役協会の資料より抜粋)。

 (1) 会計監査人の会計監査活動を把握する。
    ① 経理部門・内部監査部門等から、各部門が把握した会計監査に係る実績について十分な報告を受ける。
    ② 会計監査人が独立の立場を保持し、職業的専門化として適切な監査を実施しているか、企業グループの意向等にも留意する。
    ③ 会計監査人から監査実績の報告を受ける。
    ④ 各報告を受け、当期における会計監査の問題点・議題を把握する。

 (2) 経営執行部門が会計監査人の不再任を求める事由及びそれに対する会計監査人の意見について双方から説明を受ける。

 (3) 新たな会計監査人を選任するために、経営執行部門及び会計監査人から、下記の事項について説明を受け、意見交換を行う。
  ⅰ)会計監査人候補の概要
  ⅱ)欠格事由の有無
  ⅲ)候補選任の経緯
  ⅳ)会計監査人の独立性に関する事項その他職務の遂行に関する事項(会社計算規則第131条各号に掲げる事項)
  ⅴ)会計監査人の内部管理体制
  ⅵ)新事業年度における会計監査人の監査体制、職務を行うべき社員の経歴(監査責任者及び監査従事者)及びローテーション等の体制
  ⅶ)監査契約の内容、監査報酬及び非監査報酬の金額・水準

2.監査役、監査役会、又は監査等委員会(以下、「監査役会等」)の議事録作成

 上記の内容を議事録に記載し、監査役会等で決議し、取締役会に会計監査人の不再任議案及び選任議案を提出する。

Ⅲ.取締役会の対応

1.取締役会議事録、株主総会招集通知作成
 取締役会で、会計監査人の不再任及び選任に関する議案を株主総会招集通知の議案に含め、招集を決定し、議事録を作成する。株主総会招集通知の議案には、会計監査人の不再任及び選任に関する議案を含め、株主総会参考書類に次の事項を記載しなければならない。
  ⅰ)会計監査人の氏名又は名称
  ⅱ)監査役会が議案の内容を決定した理由
  ⅲ)会計監査人の意見があるときは、その意見の概要

Ⅳ.その他の対応

1.監査人予定者の指定に関する通知書の発送
 監査人予定者の依頼により、前任監査人及び監査人予定者に対して「監査人予定者の指定に関する通知」を書面で行う。
2.守秘義務に関する確認書の締結
 監査人予定者と間で、監査業務の引継のために監査人予定者に開示する秘密情報の取扱いに関して、監査人予定者が監査契約の締結前に取り交わす「守秘義務に関する確認書」を取り交わす。一方で、監査人予定者は前任監査人に「監査調書の閲覧に伴う守秘義務に関する承諾書」を交付する。
3.監査業務の引き継ぎに協力する
 監査人予定者の監査契約締結前後の監査業務の引き継ぎが円滑に行われるよう取り計らう。
4.監査契約の締結、会計監査人の登記
 監査契約書を取り交わし、 会計監査人の登記にあたり、以下の書面が必要になります。
  ・株主総会議事録
  ・就任承諾書
  ・(個人の場合)資格証明書、(法人の場合)登記事項証明書
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会社法監査を受けなかったら?
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