M&A関連の会社法改正のポイント~キャッシュ・アウト~

M&A関連の会社法改正のポイント~キャッシュ・アウト~

■キャッシュ・アウト

キャッシュ・アウトとは、現金を対価として少数株主を会社から退出させる方法をいいます。少数株主を排除する行為を一般にスクイーズ・アウトといいますので、キャッシュ・アウトは、そのうち現金を対価として行うものと考えてよいものと思われます。

(従来)
従来のスクイーズ・アウトの手法としては、
・全部取得条項付種類株式の取得
・金銭交付の株式交換
・金銭交付の合併
が考えられました。しかしながらこれらはいずれも手続が煩雑な面があり、総会等開催コストや事務上の負担が生じておりました。

(改正)

~概要~
「特別支配株主」による株式等売渡請求制度が設けられました。

これにより、対象会社の10分の9以上を有する株主(「特別支配株主」といいます。)は、総会決議を経ることなく、対象会社の取締役会の承認を条件として、対象会社の少数株主および新株予約権者に対し、その有する株式および新株予約権の全部を売り渡すことを請求することができるようになります(会社法第179条以下)。

~メリット~
・コスト等の負担の会費とスケジュールの短縮化
・新株予約権の売渡請求が可能
等が考えられます。

~具体的な手続~
(1) 特別支配株主が対象会社に通知(会社法第179条の2および第179条の3)
  特別支配株主が株式等売渡請求の条件等を定め、これを対象会社に通知する。
(2) 対象会社で承認(会社法第179条の3)
  対象会社が取締役会設置会社である場合には、取締役会の決議が必要となる。
(3) 対象会社から売渡株主等への通知(会社法第179条の4)
  対象会社は取得日の20日前までに売渡株主等に通知を行わなければならないとされています。一定の場合は公告が要求されています。
(4) 対象会社における事前開示書類の備置(会社法第179条の5)
  売渡株主等に対する通知又は公告のいずれか早い日から取得後6か月間(対象会社が非公開会社の場合は1年間)、事前開示書類の本店への備置が必要になります。
(5) 取得日
  特別支配株主が売渡株主等の全部を取得します。 
(6) 対価支払日
  特別支配株主等が対価を支払います。

売渡価格は上記(3)の段階で売渡株主等に通知します。売渡株主等の事前の救済手段としては、取得の差止請求(会社法第179条の7)、売買価格の決定の申立て(会社法第179条の8)が、事後的な救済手段としては、取得の無効の訴え(会社法第846条の2)が用意されています。

これらの改正は平成27年5月1日から施行されています。


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